法人設立したら知っておきたい税金のこと2「青色申告」

以前の記事で法人を設立したら税務署や都税事務所へ届出書を提出しなければならないことをまとめました。

このときに「青色申告の承認申請書」を出したほうがよいとの旨を書きました。

 

以前の「税務署・都道府県税事務所・市町村への届出」の記事はこちらです。

 

法人設立したらやっておくべき会計や税務のこと1 「税務署・都道府県税事務所・市町村への届出」

 

法人税の申告には「青色申告」と「白色申告」があります。一般的には青色申告を選択したほうがメリットが多いとされておりますが、今回はこの「青色申告」がどのような制度で主にどういったメリットがあるかまとめていきたいと思います。

ちなみに個人事業者が関係する所得税の青色申告とは内容が異なりますので、今回は法人の青色申告についてになります。

 

Contents

青色申告とは

青色申告とは、法人の取引を複式簿記という簿記の仕組みを使って帳簿に記録をし、その帳簿をもとに決算・申告を行う場合には、税務上の特典を与えるといった制度になっています。

なおこれは税務署への事前の届出(青色申告の承認申請書)が必要になり、提出期限がもうけられています。提出期限は以下のとおりとなっております。

 

区分提出期限
法人設立日から決算日まで3ヶ月以上で1期目から適用する場合設立日から3ヶ月後の日(応答日)の前日まで
法人設立日から決算日まで3ヶ月未満で1期目から適用する場合1期目の決算日の前日まで
法人設立日から決算日まで3ヶ月以上で2期目から適用する場合1期目の決算日まで
法人設立日から決算日まで3ヶ月未満で2期目から適用する場合1期目の決算日の前日まで
3期目以降から適用する場合前期の決算日まで

※2期目以降は1年決算であるという前提

 

白色申告とは

白色申告とは、青色申告と違って複式簿記による帳簿作成は義務づけられていません。ただし簡易的なものですが帳簿の作成は必要です。

ですから複式簿記ではなくてもなんらかの形で収入や支出が証明できるようなものは必要になってきます。また白色申告の場合は特に届出は必要なく、青色申告の届出をしていなければ自動的に白色申告となります。

 

青色申告の特典① 欠損金の繰越控除(大法人でないケース)

おそらくスモールビジネスを展開される方の一番のメリットはここにあると思います。

欠損金の繰越控除とは、法人税の所得がマイナス(決算書が赤字ということとほぼイコール)になった場合、来期以降10年間の間に法人税の所得がプラス(決算書が黒字ということとほぼイコール)になったときに、その所得からマイナス分をひくことができます。

つまりプラスになったときに税金を減らすことができます。しかも中小企業の場合マイナス分を満額ひくことができます。

これはかなり強力なメリットです。

特に設立当初などはしばらく赤字が続くケースがありますので、赤字を耐え続け、何年かしてやっとプラスになったら税金を払わされる、というのはかなり酷ですよね。

しかも現状の制度ですと10年間も繰り越せるということですので、これは大きなメリットだと思います。

 

青色申告の特典② 法人税の税額控除(資本金3,000万円以下の法人)

こちらは特に法人が儲かってきて税金が多額に発生するケースではうれしい制度となります。

以下のようなケースで要件を満たしていると税額が安くなります。

 

①新製品の開発、研究などに投資をした場合

②新品の設備を購入した場合

③従業員の給与を増やした場合

 

この中で③は要件が結構厳しいかもしれません。ただ大幅に給与をアップしたりすると上乗せの控除もあります。

②は金額が大きければほぼ要件を満たせます。

一番簡単に使えるのは①で、こちらは該当する支払があれば適用できます。また支払金額が多くなって一定の要件を満たすと上乗せの控除もあったりします。

税理士と顧問契約などしている場合、普通はこれらが適用できるかどうかは確認するはずですが、中には失念しているケースもあるということを聞いております。経営者の方は適用もれがないようにするために、自分の会社が適用できるかどうか、税理士に確認してみたほうがよいと思います。

 

青色申告のメリット③ 30万円未満の固定資産の全額費用化

一般的に固定資産を購入すると、減価償却といってその金額を長期間で法人の経費にしていきます。

ということは固定資産を購入すると1年で経費にできる金額が少なく、法人の利益を減らすことができないので、税金を減らす効果が少なくなってしまいます。

しかし青色申告であれば30万円未満の固定資産については、減価償却でなく、その購入した期に全額経費にしてもいいという制度になっています。

ただしこの制度は合計で300万円までしか使えませんので、それを超える部分については通常の減価償却になります。なお10万円未満の固定資産についてはこの制度を使わなくても全額経費にできますので、10万円未満のものは除いて結構です。

 

青色申告のメリット④ 特別償却、欠損金の繰り戻し還付など

その他特別償却や欠損金の繰り戻し還付などの制度があります。優先度としては①~③よりは若干低いと思いますので今回は割愛させていただきます。

経営者の方は特に①~③を頭に入れておいて頂き、決算時に適用できるかどうか確認するようにしましょう。

 


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