法人設立したらやっておくべき会計や税務のこと3-1「消費税対策1 消費税の計算方法・納税義務の判定方法」

法人設立したらやっておくべき会計や税務のことの3回目として消費税対策を考えたいと思います。なおこちらはスモールビジネス向けになります。

消費税については1回で書ききれないので今回は3-1回ということにいたします。

 

Contents

なぜ消費税対策が必要か

スモールビジネスを展開する場合、法人を設立してから3期くらいまでの消費税のプランを考えておくことは重要です。なぜなら法人を設立して間もない時期の方が消費税の納税義務があるのかないのか、どっちに転ぶかが微妙なことが多いからです。資本金が大きかったり、事業規模が大きい法人の場合は設立1期から消費税の納税義務があるケースが多いので、逆にあまり悩むところはないのです。

したがって設立してすぐにというわけではないのですが、設立1期のうちにある程度イメージをもっておかないと、3期目くらいで消費税のことをすっかり忘れていて突然多額の消費税を払うことになってしまったり、本来なら還付を受けられる状況だったのにその権利を失ってしまったりしてしまうことがあります。

また消費税の税率も10%にアップが決まり、納税のインパクトもより大きくなっていくことになります。

なお正直なところ、きちんとした消費税対策をするためには税理士と顧問契約して対策をしてもらわないと難しいと思います。ただし税理士の中にも得意・不得意分野があり、消費税があまり得意でない税理士ですと、うまく対策ができない可能性もあります。税理士であれば当然消費税の申告はできるのですが、事前の対策というのはおそらく税理士によって差がでてしまうのではないでしょうか。消費税の対策はそれだけ難しいともいえます。

対策の方法としては、還付を受けられるように必要な届出を行う、税額を減らすために必要な届出を行う、またはそれら届出を失効させるための届出を行う、などを必要な時期に行うということです。そしてこれを行うためには将来の見通しなどをきちんとシミュレーションを行ったり、消費税の高度な知識が必要なのです。

今回は消費税対策の基本となる部分についてまとめていきたいと思います。

スモールビジネス版 消費税の計算の基本

本当にザックリとした消費税の計算方法(原則的な計算方法)は、次のとおりです。なおすべての取引が国内で行われているという前提で考えて下さい。

消費税の対象となる収入 × 8% - 消費税の対象となる費用・消費税の対象となる資産の購入 × 8% = 消費税額

消費税の対象となる収入とは、商品の販売収入・サービスの収入などで、保険金の収入・住宅の家賃収入などは対象となりません。

また消費税の対象となる費用とは、商品の仕入・交通費・電話代・固定資産の購入などで、給与・社会保険料などは対象となりません。

かなりザックリとした計算なので、専門家から見るとつっこみどころ満載でしょうが、スモールビジネスで税金の素人向けと考えて下さい。

計算式を見ると、消費税の対象となる費用が消費税の対象となる収入より多いと、消費税額がマイナスになりますね。こうなった場合には消費税が還付されることになります。ただしこの還付については条件があり、還付をきちんと受けるために状況によっては先ほど述べた届出が必要なことがあるのです。

これをきちんとできるかどうかが消費税を有利にするかどうかの分かれ目といえます。

スモールビジネス版 消費税の納税義務ありorなし判定方法

消費税は基本的に期によって納税義務があるかないか変わってきます。納税義務があるかないかは、本来はかなり複雑な判定方法になるのですが、ザックリと考えさせて頂くならば下記のように判定します。

① 2期前の消費税の対象となる収入が1,000万円を超えているか

 YES→納税義務あり NO→②へ

② 1期前上半期(6ヶ月分)の消費税の課税対象となる収入が1,000万円を超えているか

 YES→③へ NO→納税義務なし

③ 1期前上半期の給与支払額が1,000万円を超えているか

 YES→納税義務あり NO→納税義務なし

※②③のいずれかに該当した場合、選択により納税義務ありにすることも可能

(※資本金1,000万円未満、消費税の対象となる収入が5億円超の法人個人の出資が50%超でない、また組織再編等はない法人という前提。一般的なスモールビジネスを始める方であれば左記のようなことは考える必要はないと思います。)

そして次の期に入る前までに、消費税の納税義務のありなしを判定しておくようにして下さい。そうしないと次の期の消費税対策がうてないのです。対策というのは必要であれば所定の届出を提出することで、その届出の提出期限というのが、原則的には届出の効力が発生する期の前期中に提出しておく必要があるのです。

設立当初の消費税の納税義務は?

前述の納税義務判定方法を見てみますと、設立1期目というのは必ず納税義務なしになることがわかりますね。

2期目については1期目の上半期次第ということになりますが、スモールビジネスですと収入も給与も1,000万円を超えるというのはそうは多くないかと思います。

したがって設立当初というのは概ね消費税の納税義務なしになってきます。

今回はちょっと短いですがここまでとなります。

今回の前提を踏まえた上で次回は具体的な対策についてまとめたいと思います。

 


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