売上総利益とは、損益計算書の売上から売上原価を差し引いた金額になります。
売上というのは本業の商売で得た収入のことです。これに対して売上原価とはその本業の売上を獲得するのに直接かかった費用、たとえば商品の仕入代金や、製造業であれば製品の製造にかかった代金をいいます。
参考→法人設立したら知っておきたい会計のこと2「損益計算書を理解する」
月次決算などを行っている会社では、売上総利益の項目はどのように見て、この数字をどのように活かしていけばよいのでしょうか?
Contents
売上総利益は何を示しているか
売上総利益は商品や製品の付加価値をあらわす金額といっていいと思います。
商品や製品が魅力的であったり希少性が高いものであればこの金額を大きくすることができます。会社の利益を高めていくためにはこの金額を大きくできるような手段を考えていく必要があります。そして会社の稼ぐ力をあらわすものですので、損益計算書の項目で最も重要なものといえると思います。
また売上総利益率も重要で、一般的には会社の商売で稼ぎ出す力を評価するにはこの売上総利益率で判断することが多いです。この率が高い商売というのは付加価値の高い商売といえます。いわゆる儲かっている会社というのはこの率が高いことが多いです。
売上総利益と売上総利益率を確認する
売上総利益をどのように見ればよいでしょうか?特に難しい見方は必要ありません。
もし業歴がある程度長く、月次決算を行っているのであれば、3期前の同月くらいから今月までの毎月の売上高・売上総利益・売上総利益率をグラフなどにすると推移がわかりやすいと思います。
ちろんそこまでデータがないということであれば、可能な範囲で結構です。
このグラフが右肩下がりになっているのであれば、売上総利益を改善する何らかの対策を打つべきです。
売上総利益が下がっている原因としてはケースごとに異なりますのでそれぞれまとめていきます。
売上は下がっていないが売上総利益が下がっている=売上総利益率が下がっている
この場合は次のような原因が考えられます。
①商品や製品、サービスの販売単価が減少している
②商品の仕入価格、製品の製造原価が上昇している
①については価格競争によるものが多いかと思います。
この場合はさらに得意先別や商品・サービス別の利益率を見た上で、どう対策するか考えたほうがいいでしょう。もしかすると商品を見直し、他社と差別化して価格を上げるための取り組みが必要かもしれません。
ただこの数字を見ただけで対策がとれるわけではないので、他の要素も併せて総合的に判断する必要があります。
②については売上原価の方が上昇しているケースになります。
この場合は原材料の高騰や、輸入で仕入れをしている場合などは外国為替が円安になる、などの影響も考えられます。特に製造原価についてはいろいろな要素があるので、それぞれを見ていく必要があります。
仕入先や購入先を安いところに変更が可能である、など対策を打てるようであれば検討するべきでしょう。
売上・売上総利益が下がっていて売上総利益率が変わっていない
この場合は商品や製品、サービスの販売量そのものが減少していると考えられます。
この場合の対策としては、販売量を戻さなければなりませんので、一般的には顧客の新規開拓などで対策をとる必要があります。または消費者向けの商売であれば広告などで集客が必要かもしれません。
当然簡単なことではありませんが、すぐにというわけではなくても中期的にでも取り組みをしておけば、その後の経営にプラスになります。ただ新規の開拓では相手の支払能力などをきちんと確認しないと、売ったはいいけど、代金を回収できない、という最悪の状況になりかねませんので、注意が必要です。
また、もちろん顧客の新規開拓は難しいということであれば、上に記載した①②の対策をとっても結構です。
まとめ
どの方法で対策をとるのかは当然各社の状況によってまちまちですし、口でいうほど簡単なものではないでしょう。
しかし大事なことは、売上総利益が下がってきたときに何が原因なのかをきちんと数値から読み取ることです。これを見過ごしていると、気がついたときに手遅れになりかねません。
是非売上総利益から会社の本業をきちんと分析して、経営に役立てて頂ければと思います。
[…] […]