経営者が最低限知っておきたい5つの会計指標を理解して経営状態を把握する

会計指標というとかなりの数があり、それらを一つ一つ全部確認していく必要など全くありません。したがって経営をしていく上で重要かつわかりやすい会計指標に絞って、そこをきちんと確認していくことが大切です。

今回は経営者の方が決算書をより深く理解できるように、重要な会計指標の見方についてまとめてみたいと思います。

Contents

売上総利益率

売上総利益率(%) = 売上総利益 / 売上高 × 100

売上総利益率は通常の商売であれば、損益計算書の中でもっとも重要な指標といえます。

そしてこの指標は商品や製品の付加価値をあらわすといってもいい数字です。この指標が高ければ会社として稼ぐ力が強いといえます。

商品や製品が魅力的であったり希少性が高いものであればこの金額を大きくすることができます。会社の利益を高めていくためにはこの金額を大きくできるような手段を考えていく必要があります。

自社の決算書をみるときに、必ず毎期、月次決算を行っているのであれば必ず毎月確認して下さい。ここの数値が減少している場合には何らかの対策を考えておかないと今後の商売が厳しくなっていきます。

 

営業利益率

営業利益率(%) = 営業利益 / 売上高 × 100

売上総利益率と似た指標ではありますが、こちらは商品や製品の稼ぐ力ではなく、本業全体としての稼ぐ力といえます。

したがって商売としてうまくまわっているかどうかが判断できます。

売上総利益率がそれなりに高いのに、営業利益率が低いという場合は、経費がかかりすぎている可能性があります。無駄な経費がないかどうか確認し、収益力の高い商売を構築していきましょう。

 

労働分配率

労働分配率(%)

 = 人件費(給料・社会保険料など)/ 売上総利益 × 100

実際には計算式が若干違うのですが、この数値で判断するのが簡便的でわかりやすいと思います。

売上総利益は販売費及び一般管理費をひく前の利益ですから、商売の儲けからどのくらい人件費を支払ったかという指標になります。

この指標は業種によってかなり違うと思いますが、自分の商売はどのくらいが適性なのか、見極めておくことが重要です。

この指標で適正な配分で人件費が支払われているか確認するようにしましょう。

 

自己資本比率

自己資本比率(%) = 純資産 / 総資産

純資産というのは資産と負債の差額をいいます。したがって資産が多く、負債が少ないほど純資産が大きくなり、自己資本比率が高くなります。

また毎期の当期純利益は純資産に積み上げられていきます(具体的には繰越利益剰余金が増加していきます)。したがって会社がどんどん儲かっていくと純資産は増加していきます。

この指標が良いほど財務安全性が高いといわれており、金融機関も融資先の自己資本比率は必ずチェックする指標です。したがって金融機関対策として確認しておく指標になります。

 

営業キャッシュフロー

営業キャッシュフローは指標とは少し違いますが、営業活動で獲得したキャッシュをいいます。

具体的には

営業キャッシュフロー = 営業収入 - 営業支出

となります。

営業収入とは、主に売上代金の入金額をいいます。営業支出とは、主に仕入代金の支払額、給与や社会保険料の支払額、その他の経費の支払額をいいます。

つまり損益計算書の営業利益より上の項目の係る入出金の増減額ということになります。この金額が大きいほど営業活動で獲得した入金が大きいということなので、資金繰りが良くなります。

こちらは月次資金繰り表を作成して毎月確認していくのが望ましいです。

月次資金繰り表については以前こちらの記事でまとめましたのでご参照下さい。

 

運転資金

運転資金 = 売上の債権 + 在庫金額 - 仕入・経費の債務

 
運転資金とは、会社の経営をしていく上で必要な資金をいいます。計算方法は上記のとおりとなりますが、あくまで経常的に必要な資金ということです。
 
設備投資などに必要な資金はここには含めません。そういった投資に必要な資金は別物とお考え下さい。
 
運転資金が大きいほど、調達しなければならない資金が増えることになります。こちらが大きくならないようにするには資金繰りを良くするための手をうたなければなりません。
 
資金繰りを良くする方法についてはこちらの記事をご参照下さい。
 

特に事業規模が急拡大しているわけでもないのに運転資金の金額が大きくなっているような場合には、売掛金の回収遅延や在庫の滞留など問題がないか確認するようにして下さい。

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