前々回まで経営者の方に必要と思われる月次決算の基本について解説致しました。
今回は月次決算を行うことがなぜ経営に役立つのかをまとめてみたいと思います。
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今期の損益・税金の納税額が予測できる
月次決算を適正に行うと、現在の損益の進捗状況を把握できるため、今期の損益の着地見込みや納税額が予想することができます。
特に損益計算書の販売費及び一般管理費の項目については一般的には毎月それほど変動はないので、目標とする利益まで、現在の進捗から残りの期間でどれだけ売上が必要か、なども把握することができます。
決算月の3ヶ月前くらいからは、現在の損益から残り3ヶ月の見込みを考慮し、納税額を予想していきます。そして月次決算が進むごとに再計算していき、最終的な納税額を高い精度で予測できるようになってきます。
その納税予想額は資金繰り表に反映させて、納税の資金繰りについてもあわせて対策をとることが可能になります。
月次決算を行っていないと、ほぼ申告のときに納税額がはじめてわかり、資金が不足するような事態になりかねません。
こういう状況は経営上精神的にも良くないですので、極力月次決算は行ったほうがいいと思います。月次決算を依頼する余裕がなければ、月次ではなく3ヶ月に1回などの損益でも依頼することによって、決算時にあわてることもなくなると思います。
経営上の問題について早期の対策がとれる
月次決算を行うと、その月の異常値などを早期に把握することができます。
たとえば先月に比べてかなり売上が落ちている、売上総利益率が低くなっている、毎月変動のない経費が増加している、などです。
こういった異常値の中身を会計データから調べることによって、その原因がわかり、次の月には対策をとることができます。これを毎月繰り返していけば経営も洗練されていき、良い方向に導くことができます。
決算まで会計処理を行わないと、そういう状態を見過ごしてしまったまま決算を迎えることになります。仮に決算時にそのことを把握できたとしても、過去のことになってしまうのであまり意味がありません。
月次決算を行いながら、毎月経営を磨いていく、という使い方もできると思います。
季節変動を把握することができる
月次決算を何年か繰り返していくと、毎年の各月の傾向というものが見えてきます。
季節によって繁忙期とか閑散期があるような業種もございますので、毎年の傾向がわかれば、損益の見込みの精度も高くすることができます。
また資金繰りの波も出てくると思いますので、資金が不足しそうであれば早めに資金調達をしておくといった対策もとることができます。
来期以降の月次決算で前期との比較ができる
月次決算を続けていくと過去のデータが蓄積されていき、過去の同月との比較することができます。
前年のデータは非常に重要で、比較することによって、今期は適正なのかどうかを見極めることができます。特に上述したような、季節変動の大きい業種である場合は特に、前月との比較よりは前年同月との比較を重視するべきです。
予算実績管理が可能になる
より高度な損益管理を行おうとした場合、予算を作成し、実績の進捗管理を行う「予算実績管理」を導入することになります。
予算実績管理を行う場合、当然予算の作成も実績の管理も月ごとに行わないと進捗管理ができません。したがって月次決算は必須といえます。
また初めて予算実績管理を行う場合にも、前期の月次データをベースに予算を作成することになりますので、月次データをとる、という意味でも必要になってきます。