月次決算を最大限経営に有効活用するための効果的な方法~その3

前回の続きで月次決算についてまとめていきたいと思います。

前回は月次損益計算書の販売費及び一般管理費のうち、人件費の項目についてまとめました。今回は月次損益計算書の販売費及び一般管理費の項目のうち、「人件費以外」についてです。

前回の記事でも記載しましたが、経費項目については極力毎月の各項目の費用額が変動しないことが望ましいです。

したがって金額が大きく損益にインパクトが大きい項目や、経営上重要な項目については極力年間の発生額が各月に分散されるように処理をしていきます。

この視点は今回も同じですのでそのようなイメージでご理解下さい。

 

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固定資産税

固定資産税は毎年4月頃に市役所などから納税額の通知が送られてきます。そして納期限は市町村によって異なるようですが、その年分の固定資産税を年4回に分けて納期限が設定されています。

年4回の支払いでも結構ですが、面倒なので通知書がきたら一括で全額支払ってしまうことも可能です。

したがって固定資産税は一般的に租税公課に計上しますが、支払ったときに経費に計上していると、月によって租税公課の金額が大きく変動してしまいます。

これを避けるため、固定資産税の通知が来たら税額を12で按分し、毎月同じ金額を計上していきます。決算では月次の計上額を一旦リセットした上で正しい金額に計上しなおします。

これによって毎月の固定資産税計上額が平準化されることになります。

 

減価償却費

減価償却費は一般的に決算処理事項として、決算時に保有している減価償却資産をもとに減価償却費が計上されます。

しかしこれでは特に固定資産などを多く持っている製造業のような業種では、決算時に減価償却費が一気に計上され、予測の損益と大きくずれてしまうことになります。

そのため、減価償却費は毎月保有している減価償却資産をベースに計上していくことが月次の精度を高める上で重要になってきます。

具体的には毎月月末時点で保有している減価償却資産の年間償却額を12で按分した金額を計上していきます。したがって新規の減価償却資産が増加した場合はそれも含めて再度年間償却額を計算し、12で按分した金額を計上します。

実務的には償却ソフトを使用して計算するのが現実的ですので、この部分は税理士に依頼するのが良いと思います。

 

年払いの保険料など

年払いの保険料なども、支払ったときに一括で経費にしてしまってはその月だけ保険料の金額が増加してしまいます。

この場合は支払ったときは貸借対照表の資産項目である「前払費用」という科目で計上しておき(この時点では経費にしない。)で、12で按分した金額をその月から毎月計上していきます。

したがって期中に支払ったとすると、いくらかは来期の経費になってしまうことになります。

しかし法人税法上、年払いの保険料は支払った期に全額経費にしてもいいことになっています。

どうしてもその期の税金をおさえたいような場合には、この制度を使いたいですから、決算時に月次計上額を一旦リセットし、全額を計上しなおすという方法で対処するか、最初からこの制度を使うつもりであれば、支払い月~決算月までの月数で保険料を按分し、毎月計上していくという方法も良いと思います。

 

まとめ

これまで見てわかるとおり、月次決算の精度が高まると、毎月の月次数値が平準化されていきます。そして毎月の数値が平準化されることでその期の決算着地見込みや納税額が予想できるようになります。

したがって月次決算の精度というのは経営上かなり重要なものと考えております。

またこのような手法で月次決算を行っていくと、その先には月次の予算実績管理というものや部門別管理などというものも可能になっていきます。

月次決算は会計がより経営のために役立つものに進化していくためのステップですので是非内容を理解して頂ければと思います。

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