月次決算を最大限経営に有効活用するための効果的な方法~その2

前回に続きで月次決算についてまとめていきたいと思います。

前回は月次損益計算書の売上総利益までの項目についてまとめました。月次決算を経営に有効活用するための最低条件になりますのでまずは前回の部分についてきちんと処理できる体制をつくるようにしましょう。

今回は月次損益計算書の販売費及び一般管理費の項目、いわゆる経費項目のうち、「人件費関係」についてです。

経費項目については、極力各項目の費用額が変動しないことが望ましいです。

毎月ほぼ同額で発生するものは特に問題ないのですが、何か月に1回とか年に1回とかしか支払いが発生しないようなものについては、月数で按分して各月に計上していくほうが、月次損益が正確になります。

これは、経費を毎月ほぼ同額が計上されることによって、年間の損益が予測しやすくなるためです。

ただすべての経費項目を上記のような方法で計上していくことはかなりの手間がかかります。

したがって正確に計上する項目と、簡便な方法(支払時点ですべて経費に計上する方法)で計上する項目とを選別することが重要です。

 

Contents

基本的な考え方

ではどのように選別をしていけばよいのでしょうか。

基本的な考え方として、金額の大きい項目経営上重要性の高い項目については毎月の経費計上額が概ね一定になることが望ましいです。

具体的に各項目をみていきます。

 

給与

給与については一般的には毎月1回の支払いになりますので、こちらは特に問題なく毎月ほぼ同額が計上されていくことになります。

 

賞与

賞与については一般的には7月と12月の年2回という会社が多いと思います。

賞与は支払った月に計上してしまうと、7月と12月だけ経費が多くなってしまい、他の月と損益が大きく変動してしまいます。

したがって賞与については支給見込み額をある程度定めておき、その対象期間で月数按分した金額を「賞与引当金繰入」などという経費項目で毎月計上していきます。

そして実際に支払った月に、その実際の支払額となるよう精算する処理を行います。(この部分は会計の専門的な処理ですので、経営者の方には不要な知識です。)

これによってほぼ毎月同額の賞与が計上され、毎月の損益に与える影響を一定にすることができます。

 

社会保険料

社会保険料の支払いというのは月末締翌月末払いとなっております。したがって支払った時点で社会保険料を計上すると、それは1月前の社会保険料がその月に計上されることになります。

前月の社会保険料の金額は前月の給与の支払時点で把握することができますので、発生月に対応する社会保険料を計上していきます。

 

労働保険料

労働保険料の支払いは、年1回の支払い又は年3回の支払いになります。

したがってこちらも毎月同額になるように按分して計上することが望ましいということになります。労働保険料に関しては7月頃に労働保険料の申告を行い、その時点で経費計上することが可能です。

つまりここで年間の労働保険料の金額が確定しますので、その金額を12で按分した金額を毎月経費経費計上していきます。

イメージとしては賞与の計上方法とほぼ同じです。

 

退職金規程がある場合

退職金規定がある会社の場合、その対象となる従業員が存在する限り退職金の支払義務があります。これは潜在的な支払義務ではありますが、退職給付債務とよばれます。

この退職給付債務は月が経過したり、従業員の入退社などによって毎月変動していきます。

毎月の退職給付債務をエクセルなどで管理し、変動があれば毎月経費を調整していくことにより、より正確な月次損益となっていきます。

ただしこちらは管理が少し面倒ですし、大きな変動がないような会社であれば損益への影響は少ないので特に考慮しなくてもよいと思います。

 

福利厚生費

福利厚生費も人件費という扱いと考えます。しかしこちらは通常そこまで金額が大きくはなりませんし、上記の項目ほど重要な項目ではないと思いますので、すべて支払時点で経費計上していけばそれほど問題ないと思います。

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