経営者にとって会計をある程度理解しておくことは必要だと思います。
会計を理解するといってもいわゆる簿記のような会計処理(仕訳)ができる必要は全くありません。決算書を見て自分の会社がどのような状況なのかを把握できることが大切だと思います。
税理士と顧問契約などをしていれば決算書の内容について説明をしてくれるかと思いますが、多少の基礎知識がないとせっかく説明を受けてもよく理解できない可能性があります。
そうならないように、経営者にとって必要だと思う決算書に関する知識の基本をまとめたいと思います。
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会社が儲かっているかどうかをどう計算するか
会社が儲かっているかどうかは会社の一期間(一般的には1年)の下記の算式で計算し、プラスが多ければたくさん儲かっていて、マイナスになっていたら損をしているということになります。
収益 - 費用 = 会社の儲け・マイナスであれば損失
収益・費用とは以下のようなものと考えて頂ければよいと思います。
- 収益とは会社の経済活動によって獲得するお金(ほとんどが商売による売上)
- 費用とは収益を獲得するために犠牲となるお金(商品の仕入代金、従業員の給料、事務所の家賃、設備の減価償却費など)
ここで注意点があります。
上記の計算をするために、一期間の収益・費用をそれぞれ計算する必要がありますね。この収益・費用はお金が入金したときや支払をした時点で計上するのではないということです。
ここが難しいところでもありますが、まずはここを理解するようにしましょう。
では実際にどのように計上すればよいのでしょうか。
収益は確定した時点で計上する
先ほども述べましたが、収益はお金を受け取ったときに計上するのではありません。
収益の代表格である売上で考えてみます。商品販売の一般的な流れとしてはこんなような流れになっているかと思います
①得意先に見積書などを提示
②得意先から注文書を受領
③受注した商品を手配
④納品書とともに商品を得意先に納品
⑤月末に請求書を作成し得意先に送付
⑥翌月末に商品代金が入金
①から⑥のうちどの時点で収益を計上するかというと、商品の引渡しが完了した④の時点が一般的になります。つまり商品の引渡しが完了すると得意先から代金をもらう権利が発生しますので、ここが収益計上のタイミングとなっているのです。
費用は収益と対応させる
費用にはいろいろなものがありますが、基本的な考え方としてすべてに費用は収益と対応させて計上することになっています。収益を獲得するためにどれだけ費用が発生したかを計算する必要があるのですから、当然といえば当然です。
ただし費用にはいろいろな種類がありますので、どう対応させるかはものによって違います。
費用の種類ごとに分類して説明します。
原価は収益と完全対応させる
費用の代表格としては商品の仕入代金などがあるかと思います。いわゆる原価というものです。
商品でいうと、販売した商品1個1個はそもそもその前に仕入をしていて、その代金を支払っているはずです。よって販売した商品については収益と費用がそれぞれ紐付いていることになります。その紐付いている仕入代金を費用として計上すればよいのです。
したがってこちらも収益と同じで支払をした時点で計上するわけではないということになります。具体的にどう計上していくかは今回は説明しませんが、商品の販売時点で計上することになります。
ある商品は販売が完了しているのに、その商品の原価が計上されていないと、商品を販売するためにどれだけ費用がかかったのか正確に計算することができなくなりますね。だから完全に対応させる必要があるのです。
経費は期間で対応させる
費用でよくでてくるのは給与・家賃・電話代・水道代・借入金利息などでしょうか。一般的には経費とよばれるものです。
これらは販売した商品と直接どう結びついているか判断するのは難しいですね。こういったものについては発生した期間に計上することにしています。
したがってこれも支払時点と計上がずれることがあります。
たとえば家賃などは前月末までに前払いをするということが多いですが、4月分の家賃を3月25日に支払ったとしたら、この家賃は4月で計上する、といった具合です。
また電話料金などは使った分を翌月に引落なんてこともあると思います。4月に使った電話代の引落が5月10日だったとしたら、この電話代は4月で計上していきます。
収益と直接的な対応がわからないような費用についてはこのように期間で対応させていくことになります。
建物や設備は減価償却費という費用になる
建物や設備のように、長期間にわたって使用するものがあります。
こういったものについてはお金は購入時に一括などで支払いますが、支払時に一気に費用としてしまってはそのときだけ儲けがものすごいマイナスになってしまうことになります。
建物とか設備というのは普通は長期間に渡って使用します。ということは長期間にわたって収益を得ることに貢献していくことになります。したがってこういった固定資産などといわれるものについては長期間にわたって費用を計上していく必要があります。
長期間というのはどのくらいの期間かというと、ものによって違います。また費用の計算方法もいくつかの種類があります。会計の世界ではどのような基準で費用化するかは会社が判断します。
ただし一般的には税務上の基準を用いることが多いですし、税金計算上も税務基準を使うほうがシンプルでわかりやすいです。
たとえば10,000,000円の建物を購入してこれを50年間で毎年同額を費用計上するという基準にした場合、1年で費用計上する金額は200,000円になる、といった具合です。
まとめ
今回の会計の基本を理解すると、後日記事としてまとめる予定ですが、決算書の見方もわかりますし、税理士とのコミュニケーションも深くできるようになると考えています。
ということは自分の事業の経営状況もより深く理解することができますし、会計を経営に活かすこともできます。
せっかく税理士にお金を払って会計業務を委託しているのであれば、最大限有効活用すべきです。しかし現実的にはある程度の基礎知識がないと理解できない部分もあると思います。
上に記載したようなことを理解するだけでもだいぶ変わってくると思いますので是非おさえておいて頂ければと思います。