前回記事では損益計算書に出てくる減価償却費の基本的な考え方についてまとめさせて頂きました。
今回は事業を始めると一般的に事務所を賃貸することが多いですので、そのときに支払ったものがどのように経費になっていくのかまとめていきたいと思います。
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事務所の賃貸借契約時に支払うもの
事務所を賃貸するときに支払うものとして、一般的に下記のようなものがあります。
<契約時に発生するもの>
- 敷金
- 礼金
- 当月の日割り家賃・来月の家賃
- 仲介手数料
<契約更新時に発生するもの>
- 更新料
ではそれぞれどのように経費にしていくかみていきます。
敷金
まず基本的な考え方として、経費になるものはお金を払って戻ってこないものだけになります。後日お金が戻ってきたりする場合には戻ってくる部分については経費になりません。
敷金は一般的にオーナーにお金を預けているだけで、通常退去時に返金されるものですので、そもそも経費になりません。会計上は支払った敷金は経費でなく貸借対照表の資産に計上されることになります。
ただし敷金のうち、返金時に一部償却されてしまうケースもあります。
こういった場合は償却部分については返金されませんので経費になります。
ただこちらは一括経費にはならず、この場合は契約期間で月数割りした金額を経費にしていくことになります。たとえば2年契約でしたら返金されない金額を24ヶ月で割って、今期に経過する金額が経費となります。また今期に経費とならなかった部分は来期以降に同じように経過した月数分が経費となっていきます。
なおこの返金されない金額が20万円未満である場合には月数割りする必要はなく、一括経費にすることが認められています。金額が低ければ一括経費でもいいですよ、ということです。
礼金
礼金は一般的に返金されるものではありませんので経費にはなります。
ただしこれも一括経費にはならず、敷金の返還されない金額と同様の処理となり、契約期間で月数割りした金額を経費にしていきます。またこちらも同様ですが今期に経費とならなかった部分は来期以降に同じように経過した月数分が経費となっていきます。
またこちらも金額が20万円未満である場合には月数割りする必要はなく、一括経費にすることが認められています。
当月の日割り家賃・翌月の家賃
月の途中から賃貸契約がスタートしたときは、日割り家賃が発生します。
一般的には契約時にその月の日割り家賃と翌月の家賃も同時に払うことが多いかと思います。
どちらも基本的には経費になるのですが、翌月に期が変わってしまう場合には、厳密には来月分の家賃については来期の経費となります。ただ、法人税法上はこれを当期の経費として計上しても認められておりますので、今期の税金を安くしたい場合には来月分の家賃も経費計上したほうがいいということになります。
仲介手数料
仲介手数料はオーナーに支払うものではなく、仲介業者に支払う手数料になりますが、こちらは賃貸借契約を締結した時点で仲介という業務が完了しておりますので、特に問題なく支払ったときに一括で経費に計上します。
更新料
更新料は一般的には2年程度ごとに契約更新となり、そのときに支払をするケースが多いと思います。
これも返金などされるものではありませんので経費にはなりますが、返金されない敷金や礼金と同様に契約期間で月数割りでの経費計上が必要になります。また同様に20万円未満であれば一括経費にすることができます。
事務所の賃貸に関する経費については月数で按分が必要だったりするので結構ややこしく、注意が必要です。