税理士試験と税理士の得意分野について

突然ですが、今週12月14日は税理士試験の合格発表日です。

画像は私が受験していたころに使っていた教材です。

私が現在勤務している事務所でも合格発表を待つ受験生がいます。やはり不安でいっぱいのようですが、私ももちろん経験してきた道ですので落ち着かない気持ちはよくわかります。

1年に1度しかない試験ですので、合格していれば天国、不合格なら地獄というふうにはっきりと明暗が分かれてしまいます。1点差であっても合格が不合格かわかれることになります。

本当に厳しくて苦しい試験だったなと思います。正直なところまたあの試験をやり直せと言われたら無理です。それくらい受験期間も長く、かつ内容もシビアな試験だと思います。

税理士試験というのは当然ながら税理士の資格を得るための試験ですが、どのような制度になっているか簡単にまとめたいと思います。

というのも、現状の税理士制度ですと税理士によって得意分野、苦手分野がわかれるのが普通だと思います。そのへんをご理解頂くために私なりの意見もまぜながら、できるだけ簡単にご説明したいと思います。

なお税理士試験の免除制度というものが存在しており、大学院等に通うことによって税法科目2科目の免除を受けることが可能です。ただこちらについては私自身この制度を利用していないため、割愛させて頂きます。

 

税理士試験に合格するには

税理士試験の受験科目には次の全11科目が存在します。

(会計科目) 簿記論・財務諸表論

(税法科目) 法人税法・所得税法・相続税法・消費税法・国税徴収法・酒税法・事業税・住民税・固定資産税

 

そして税理士試験に合格するためには、

①必修科目2科目(簿記論  and 財務諸表論)

②選択必修科目1科目(法人税法 or 所得税法)

③その他の中から2科目

合計5科目に合格する必要があります。

 

①必修科目2科目は簿記論財務諸表論といういずれも会計科目になります。

税金の計算をするためには会計の知識がベースとなっているため、基本的には会計を理解していないと税務の実務をこなすことはできません。特に法人税・消費税・所得税では会計をきちんと処理できる能力は必須になります。

②選択必修科目1科目は法人税法又は所得税法のいずれか1科目になります。

法人税法または所得税法のいずれかに合格しなければ税理士になることはできません。この2科目は税理士の業務として重要な税法という位置づけなのだと思います。またどちらの科目も非常にボリュームの多い科目なので、ここをクリアすると税理士への道がかなり開けると思っています。

また法人税法と所得税法の両方に合格した場合でも選択必修科目はクリアとなります。また合格科目数も2科目としてカウントされます。

私は法人税法と所得税法の両方を選択しました。どちらも自分にとって重要な科目だと思ったからです。

③その他2科目

①と②で3科目合格する場合には③は2科目、①と②で4科目合格する場合には③で1科目合格する必要があります。科目によってボリュームなどもかなり違ってくるため、どの科目を選ぶかは人によって本当に違います。私は実務上重要な科目である消費税法を選択しました。

相続税に強くなりたいと考えるのであれば相続税法、勉強時間をあまり増やしたくないということであればボリュームが少ないといわれる固定資産税などを選択したりします。

 

試験は各科目年1回で、複数の科目を同時に受験することも可能です。なお受験する順番や合格する順番はどの順番でも構いません。各科目の合格率はおおむね10%程度になっています。

合格率10%程度ですので10人に1人しか合格できません。ですから1科目合格するのも簡単ではありません、

したがって1年で複数科目をこなすのはかなり大変で、社会人であれば1科目ずつ受験するのが普通だと思います。したがって社会人だと合格までに最低5年以上、一般的には2年に1科目合格するくらいのペースが多いと思いますので、10年くらいかかるのが一般的なようです。

これだけ勉強して税理士になっていますので、5科目合格者はかなり深い知識を持っていると思います。必然的に事務所の中でも難易度の高いクライアントを担当するのは5科目合格者が多くなります。

 

試験内容の特徴(私が合格した科目のみ)

・簿記論

複式簿記に関する知識、適切な会計処理など範囲は非常に広く、合併に関するものや連結決算なども出題されています。試験はすべて計算で、スピードがかなり要求される印象はあります。また問題をきちんと読み取って自分の中で理解し、それをすばやく会計処理に反映する力が試される試験だと思っています。

会計処理の知識さえあれば対応できるというものではなく、会計実務と同じように資料からきちんと内容を把握できる力が必要だと思います。

・財務諸表論

会計理論の理解、会社法及び会社法会計に関する知識、会社法決算書の表示方法など、主に会計理論と会社法に関しての知識が問われます。会計理論については基本的に論述形式になっており、会社法会計に関する知識の問題は計算問題になっています。

会計理論の問題では会計基準や会計原則を丸暗記すれば解答できるような問題ではなく、きちんとした理解と聞かれていることに対して的を得た解答になっているかどうかが重要です。

・法人税法、所得税法、消費税法(税法科目)

法人税法の理論と法人税法の計算が出題されます。

上記の税法科目に関しては試験内容は非常に実務的になっている傾向にあると思います。最近では理論は判例や具体的な事例に対してどのような法律が適用され、どのような取扱いになるかを説明させることが多いと思います。

計算についてはかなり実務とリンクしていると考えていいと思います。また法律で定められていない部分でも基本通達などの知識が必要なケースもあります。計算については法人税法の知識をもれなく持っていることは前提で、その上で問題の資料をきちんと読み取れる力が重要だと思います。

 

税理士の特性は合格科目に影響されやすい

上記のような試験制度のなっていますので、税理士になるためにはすべての税法を勉強しているわけではありません。簿記論と財務諸表論はどの税理士も合格しなければなりませんが、税法は人によってかなり違ってきます。したがって必然的に税理士によって得意分野と不得意分野ができてしまいます。

私を例にすると、「簿記論」「財務諸表論」「法人税法」「消費税法」「所得税法」ですので、どちらかというと法人よりの合格科目といえます。ですが所得税も合格してますので個人の確定申告も問題ありません。また小さな会社ですと法人と個人(社長)間で取引が発生することも多いため、所得税の取扱いを考慮することも必要になってきます。ただ相続税で特に申告となると全く対応できません。相続税の案件を頂戴した場合には他の税理士をご紹介せざるを得ない状況になります。

しかしこのような状況は普通にあることだと思います。最近では相続税専門の事務所も多くなりましたし、税法はかなり複雑ですので1人ですべての税法を網羅することは不可能ですし専門がわかれていくのは悪いことではないと思っています。

 

私の印象では、試験に科目合格していてさらに実務経験があれば得意分野になっていると思います。

相続税の申告を依頼したいと考えたときは、相続税法の合格者で相続税を中心に業務を経験してきた税理士を選ぶのがよい、ということになります。法人の顧問や決算申告を依頼する場合は法人税法と消費税法の合格者で、法人を中心に業務を経験していた税理士を選びます。

税理士を選択する目線として、合格科目も考慮にいれると自分の希望に沿った税理士を選択できる可能性が高くなってくると思います。もちろん選択の基準はこれだけではないので一概に言えないとは思いますが、一番わかりやすい基準として使えるのではないかと思います。

 


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